アプリ同士をつないで作業を自動化するツールを探すと、よく名前が挙がるのがZapier、Make、n8nの3つです。どれも「あるアプリで起きたこと」をきっかけに「別のアプリで処理を動かす」点は共通していますが、ツールとしての立ち位置や、料金の数え方、向いている使い方はかなり違います。この記事では、3つの違いを並べて、どれが自分の候補になりそうかを判断できるように整理します。
3つとも自動化ツールですが、得意な場面が分かれます。手早く使い始めたいか、複雑なフローを視覚的に組みたいか、自前のサーバーで動かしたいかが大きな分かれ目です。
Zapier
こんな人に
まず気軽に試したい、アプリ連携を中心にAIやチーム共有もまとめたい
Make
こんな人に
複数ステップの業務プロセスを視覚的に細かく組みたい
n8n
こんな人に
自分でサーバーを用意して運用したい、コードやAPIで拡張したい
3つは「自動化ツール」とひとくくりにされますが、説明のされ方が違います。
Zapierは、アプリ連携を中心に、AIを組み込んだワークフローまで作れる自動化プラットフォームです。基本となるZap(自動化の一つひとつ)に加えて、データを貯めるTables、入力を受けるForms、AIエージェントを作るAgents、AIから操作を呼び出すMCPなど、複数の機能を持っています。「Zapだけのツール」というより、自動化まわりの機能をまとめた製品群と見たほうが実態に近いです。
Makeは、コーディングなしでアプリやサービスをつなぎ、ワークフローを自動化するノーコードのプラットフォームです。フォーム送信後の営業通知のような単純な処理から、従業員のオンボーディングや請求書処理のような複数ステップの業務プロセスまで、視覚的に組み立てられます。
n8nは、インストール不要のCloud版と、自分で環境を用意して動かすself-host版(自分のサーバーにアプリを入れて自前で運用すること)の両方を選べる自動化ツールです。ノード(node)をつないでワークフローを作る形が特徴で、後述するようにコードやAPIでの拡張に向く道も用意されています。
作り方の単位が、3つで言葉も考え方も少し違います。最初にここを押さえると、料金の話も読みやすくなります。
Zapierでは、自動化の一つひとつをZapと呼びます。Zapは「トリガー(きっかけになる出来事)」と「1つ以上のアクション(その後に動く処理)」の組み合わせで、たとえば「メールが届いたら、その内容を表に書き込む」といった流れを作ります。Zapは一方向の自動化で、2つのアプリを常に同じ状態に保つ双方向同期には向きません。
Makeでは、シナリオ(scenario)という単位の中に、モジュール(module)を並べて流れを作ります。モジュールが1回データを処理することをオペレーション(operation)と呼び、これが利用量の基礎になります。分岐や条件のように、画面上で経路を組む操作が得意です。
n8nでは、ノードをつないでワークフローを作ります。ワークフローを開始するトリガーノードと、処理や外部サービスへの操作を担うアクションノードがあり、複数のノードをつないで一連の流れにします。
月額だけを見て比べると判断を誤りやすいツールです。3つとも「何を使うと利用量が増えるか」の数え方が違うからです。
Zapierはタスク(task)で見ます。タスクは、Zapが成功させたアクションのことです。トリガーや、フィルターで止まったステップ、エラーになったステップはタスクを消費しません。プランごとに月間のタスク枠が決まっていて、枠は請求サイクル単位でリセットされ、翌月へは繰り越されません。AIクライアントから操作を呼び出すMCPも同じタスク枠を使い、成功した1回の呼び出しで2タスクを消費します。
Makeはクレジット(credit)で見ます。クレジットはMakeを使うために消費する単位で、AI以外のアプリでは1オペレーションがおおむね1クレジットです。クレジットとオペレーションは関連しますが別の概念で、モジュールの種類によって数え方が変わります。AI機能などでは、実際の消費量に応じてクレジットが変動する場合もあります。
n8nはワークフロー実行(execution)で見ます。executionは、ワークフローが最初から最後まで1回走ることです。途中のステップ数が多くても、1回の実行は1executionと数えます。有料プランの上限に数えられるのは、トリガーやスケジュールで自動的に始まった本番実行だけで、手動でのテスト実行は数えません。n8nの料金はすべてのプランでユーザー数・ワークフロー数・連携が無制限とされ、実行回数で段階が分かれます。
公開されている料金の目安は次の通りです。Zapierとn8nは年払い表示時の月額、Makeは10,000クレジット表示時の金額です。
| ツール | 利用量の単位 | 無料の入口 | 有料プランの目安 |
|---|---|---|---|
| Zapier | タスク(成功アクション) | Freeプラン(月100タスク) | Professional 月19.99ドル〜/Team 月69ドル〜/Enterprise 問い合わせ |
| Make | クレジット(オペレーション) | Freeプラン(月1,000クレジット) | Core 月9ドル/Pro 月16ドル/Teams 月29ドル/Enterprise カスタム |
| n8n | ワークフロー実行(execution) | Cloudの無料トライアル/self-hostのCommunity edition | Starter 月20ユーロ/Pro 月50ユーロ/Business 月667ユーロ/Enterprise 問い合わせ |
注意
料金やプランの内容は変わりやすく、表示の取得時点に依存します。導入前に各社の公式料金ページで最新の金額と条件を確認してください。通貨や課金単位がそろっていないため、月額だけを並べての単純な高い・安いの比較には向きません。
通貨も単位も違うので、表の金額をそのまま横並びにするより、自分の使い方で月にどれくらい動かすかを見積もり、それぞれの単位(タスク・クレジット・execution)で換算して比べるのが現実的です。
「自分が使うアプリにつながるか」「足りないときに補えるか」も選ぶ際の要点です。連携できるアプリの数は表示が揺れやすいので、件数の多さより、つなぎ方の幅で見るほうが確実です。
Zapierは多数のアプリ連携を前提に使えるほか、公開APIを持つアプリ向けに、認証・トリガー・アクションを定義してZapier連携を作るDeveloper Platformがあります。アプリを使う側だけでなく、連携を提供する側の拡張もできます。
Makeは用意済みのアプリ連携に加え、HTTP app(APIを持つサービスへ汎用的につなぐ部品)を含むノーコードの道具立てで、APIがあるサービスへつなげます。さらにMake APIやCustom Apps、MCP Serverといった開発者向けの拡張経路も用意されています。
n8nは標準で組み込まれたノードに加え、コミュニティが作ったノードや、汎用のHTTP Requestノードで専用ノードのないサービスへも接続できます。自分でカスタムノードを作って拡張する道や、public API・CLIからn8n自体を操作する経路もあり、開発者向けの拡張に寄った作りです。
3つともAI関連の機能を持ち始めていますが、機能があることと性能が高いことは別なので、ここでは入口の違いとして押さえます。
ZapierはMCPでAIクライアントとアプリ操作をつなげるほか、AIエージェントを作るAgentsや、対話を担うChatbotsを備えています。Makeには、ツールやナレッジを組み合わせてチャットで試せるMake AI Agents(New)があり、判断が必要な処理にはAIエージェント、決まった手順には通常のシナリオ、という使い分けを公式が示しています(現在はオープンベータで、機能や料金が変わる可能性があります)。n8nは、LangChain系のノードを通常のノードと組み合わせ、外部データを検索して回答に使うRAGのようなワークフローも構成できます。
導入形態の自由度は、n8nがはっきり違う部分です。
ZapierとMakeは基本的にクラウドで使うサービスです(Makeは企業向けに、社内ネットワークへつなぐためのon-prem agentなどの確認項目があります)。一方n8nは、Cloud版とself-host版を選べます。self-hostは自由度がある選択肢ですが、Docker、設定、データベース、セキュリティ、規模拡大時の構成などを自分で管理する必要があり、サーバー運用の技術知識が前提になります。自分で運用する負担を負える場合の選択肢であって、誰にでも勧められるものではありません。サーバー管理に慣れていなければ、n8nでもCloud版が現実的です。
総合的にどれか1つが一番というより、使い方で候補が分かれます。
Zapierは、アプリ間の一方向の自動化を中心に、AI連携やチームでの共有(共有Zap、共有フォルダ、共有アプリ接続、SAML SSOなど)までまとめて1つの製品で扱いたい場合に向きます。まず気軽に試したい人の入口にもしやすいツールです。
Makeは、単発の通知だけでなく、複数ステップの業務プロセスを視覚的に組みたい人に向きます。クレジットの数え方を理解して、処理の設計とコストを一緒に考えたい場合に比較しやすいツールです。
n8nは、ノードをつないでワークフローを組む形が合う人、self-hostや、HTTP Request・カスタムノード・APIでの拡張を重視する人に向きます。AIワークフローまで自分で構成したい場合にも候補になります。
Q.結局どれが一番いい?
A.用途で変わります。手早くアプリ連携を始めるならZapier、複数ステップの業務フローを視覚的に組むならMake、self-hostや開発者向けの拡張を重視するならn8nが候補になります。
Q.無料のままずっと使える?
A.ZapierとMakeには無料プランがあり、n8nにはCloudの無料トライアルとself-host向けのCommunity editionがあります。ただし無料の中身はそれぞれ違い、Zapierは月100タスク、Makeは月1,000クレジットといった枠があります。本格的に使うなら有料プランの条件を確認してください。
Q.料金はどう比べればいい?
A.月額だけでは比べにくいです。Zapierはタスク(成功アクション)、Makeはクレジット(オペレーション)、n8nはワークフロー実行(execution)と数え方が違うため、自分が月に動かす量を各単位で見積もって比べるのが現実的です。
Q.プログラミングは必要?
A.ZapierとMakeはノーコードで使えます。n8nもノードをつなぐ形で作れますが、HTTP RequestやカスタムノードなどコードやAPIを使った拡張の道が広く、開発者向けの拡張に寄った作りです。
確認日: 2026-06-06 以降(記載の各公式ページで確認。価格などは変わることがあります)
Zapier
Make
n8n