ZapierとActivepiecesは、どちらもアプリやサービスをつないで作業を自動化するツールです。「メールが届いたら表に書き込む」のように、きっかけと処理を組み合わせて動かす、という基本の考え方は共通しています。一方で、料金の数え方や、自分のサーバーで動かせるかどうかといった点は大きく違います。ここでは、作り方・料金の数え方・導入形態・連携のしくみを順に見て、自分の使い方ならどちらが向くかを判断できるように整理します。
細かい違いはこの後で見ますが、選ぶときの目安を先に示します。どちらも無料で試せる入口があるので、迷ったら小さく動かして比べるのが確実です。
Zapier
こんな人に
決まったアプリ同士を手早くつなぎ、AIやチーム共有まで同じ画面でまとめたい
Activepieces
こんな人に
ソースコードが公開されたツールを使いたい、自社のサーバーで動かしたい、料金を「動かす自動化の本数」で見積もりたい
Zapierは、アプリ連携だけでなくAIを含む業務の流れを組み立てる自動化プラットフォームです。中心にあるのは後で説明するZapという自動化ですが、それ以外にもデータを保存するTables、入力を受け取るForms、AIエージェントを作るAgents、AIチャットを埋め込むChatbots、Pythonでコードを書くFunctions、AIクライアントとつなぐMCPなど、複数の機能を組み合わせて使う製品群として設計されています。連携先そのものは幅広く、多くのアプリに対応しています。
Activepiecesは、ソースコードが公開された(オープンソースの)オールインワンの自動化ツールです。大きな特徴は、提供元が運用してくれるクラウドと、自分で用意したサーバーに入れて動かすセルフホストの両方から選べる点です。無料で使えるCommunity EditionはMITライセンスで公開されていますが、こちらは自分でサーバーを用意して運用する形なので、ある程度の技術的な知識が前提になります。クラウド、セルフホスト、Community Editionは料金も前提も違うので、この記事でも分けて扱います。
Zapierで作る自動化の単位はZapと呼ばれます。Zapは、開始のきっかけになるトリガーと、その後に実行される1つ以上のアクションで構成されます。たとえば「フォームに回答が届いたら(トリガー)、その内容をスプレッドシートに追記する(アクション)」といった組み合わせです。ここで押さえておきたいのは、Zapの自動化は一方向で動くという点です。Zapierはアプリ間の双方向同期には対応していないため、片方を更新したらもう片方も自動でそろえる、という使い方をしたい場合は設計に注意が必要です。逆向きのZapを組んで双方向をまねると、処理がループして後述のタスクを一気に消費するおそれがあります。
Activepiecesで作る単位はflow(フロー)と呼ばれ、こちらもトリガーから始まり、その後にアクションが続くという組み立て方です。作ったflowはすぐ本番に反映されるのではなく、各ステップをテストして動作を確かめ、publish(公開)して初めて有効になります。動かした後はRunsという画面で、どのステップがどう動いたか、入出力の中身まで確認できます。作る、試す、公開する、実行結果を見る、という流れが一通りそろっています。
月額の数字だけを見比べると判断を誤りやすいのが、この2つの料金です。数える単位そのものが違うからです。
Zapierは、タスク(task)という単位で利用量を見ます。タスクは、Zapが成功させたアクション1つ分にあたります。つまり自動化が実行されて処理が動くたびに消費が増えていく数え方です。各プランには月間のタスク枠があり、この枠をどれだけ使うかで必要なプランが決まります。無料プランは月額0ドルで、月100タスクまで使えます。有料はProfessionalが年払いで月19.99ドルから、Teamが年払いで月69ドルから、Enterpriseは問い合わせでの案内です。なお、AIクライアントとつなぐMCPを使う場合も同じタスク枠から消費され、成功した呼び出し1回で2タスクを消費します。
Activepiecesのクラウド料金は、active flow、つまり「オンにしている自動化の本数」で数えます。実行回数ではなく本数で見るのがポイントで、公式には実行ごとの課金はしない(1実行あたり0ドル)と説明されています。クラウドのStandardプランでは、無料で10本のactive flowと無制限の実行が使え、それを超えた分は自動化1本あたり月5ドルという形です。より上のUltimateは年契約のカスタム料金です。一方、セルフホストで使うCommunity Editionは無料で公開されていますが、これはクラウドの無料枠とは別物で、自分で運用する前提のものです。「実行に課金しない」ことと「全体が無料で無制限に使える」ことは同じではない、という点だけ切り分けておくと混乱しません。
注意
ここで挙げた金額やプラン内容は変わりやすい部分です。契約前に各社の公式料金ページで最新の条件を確認してください。
つまり、実行回数が多くても自動化の本数を絞れる使い方ならActivepiecesの本数課金が見積もりやすく、動かす自動化の数だけ課金を増やしたくない場合に向きます。逆に、本数より実行の総量で料金を管理したい、あるいはまず無料枠で手早く始めたい場合はZapierのタスク枠が分かりやすいでしょう。
Zapierは、多くのアプリをZapのトリガーやアクションとしてそのまま選べるのが強みです。標準の連携で足りない場合や、自社サービスをZapier側に対応させたい場合は、Developer Platformを使って認証・トリガー・アクションを定義し、公開APIを持つアプリの連携を作れます。利用する側だけでなく、連携を提供する側の作り込みまで想定されています。
Activepiecesの連携は、pieces(ピース)という部品を中心に組み立てます。piecesは自動化flowで使う連携部品で、多くのアプリに対応しています。特徴的なのは、このpiecesがオープンソースで、TypeScriptというプログラミング言語で書かれている点です。そのため、自社専用のpieceを開発して取り込む、といった拡張がしやすくなっています。標準の部品で足りない部分を自分たちで補いたい開発寄りのチームには、この作りが向きます。
導入形態は、この2つを分ける一番大きなポイントです。
Zapierはクラウドで使うサービスとして提供されます。アカウントを作ればすぐ使え、サーバーの用意や運用は不要です。
Activepiecesは、提供元が運用するクラウドに加えて、自分のインフラに導入して動かすセルフホストも選べます。セルフホストなら、データやインフラを自分たちの管理下に置けます。ただし、セルフホストは自由に運用できる反面、サーバーの構築と維持を自分で担うことになり、技術的な知識が前提になります。「自分で持てる=手軽・安全」と単純に結びつけず、運用の手間も込みで考えるのが現実的です。社内のデータを自社の環境から出したくない、といった事情がある場合に、この選択肢が効いてきます。
AI関連では、どちらも入口となる機能を持っています。ZapierはAIエージェントを作るAgents、AIチャットのChatbots、AIクライアントとつなぐMCPなどを備えています。Activepiecesも、AIエージェントやAI用のpieces、それに人の承認を途中に挟むHuman in Loop(一定時間待ってから進める、承認を求めてから続ける、といった制御)を用意しています。どちらもAIを組み込んだ自動化の出発点にはなりますが、機能名があることと実際の性能は別なので、実際の用途で試して見極めるのがよいでしょう。
チームや管理の面では、Zapierは共有Zapや共有フォルダ、アプリ接続の共有、SAML SSOといった共同利用の機能を提供します。Activepiecesも、権限を役割で分けるRBAC、SSO、操作履歴を残す監査ログといった管理機能を持ちますが、これらは有料エディション向けの機能です。無料のCommunity Editionでそのまま使えるわけではない点に注意してください。
| 見る点 | Zapier | Activepieces |
|---|---|---|
| 位置づけ | AIも含む自動化プラットフォーム | オープンソースのオールインワン自動化ツール |
| 自動化の単位 | Zap(トリガー+アクション、一方向) | flow(トリガー+アクション、テスト・公開・実行確認あり) |
| 料金の数え方 | タスク(成功アクション)の枠 | active flow(オンにしている自動化の本数) |
| 無料の入口 | 無料プラン(月100タスク) | クラウドの無料10 active flows/自分で運用するCommunity Edition |
| 導入形態 | クラウド | クラウド/セルフホストの両方 |
| 連携と拡張 | 幅広いアプリ連携+Developer Platform | piecesが中心、TypeScriptで自作可能 |
| チーム・管理 | 共有Zap、SAML SSOなど | RBAC・SSO・監査ログ(有料エディション) |
Zapierは、決まったアプリ同士を一方向でつなぐ自動化を手早く始めたい場合に向いています。無料枠から試せて、AIエージェントやMCP、チーム共有まで同じ製品の中でまとめて扱えるので、運用の場所や仕組みを自分で抱えたくない使い方と相性がよい候補です。
Activepiecesは、ソースコードが公開されたツールを使いたい、自社のサーバーで動かしたい、料金を実行回数ではなく自動化の本数で見積もりたい、という条件があるときに候補に入ります。piecesをTypeScriptで自作できるので、標準の連携で足りない部分を開発で補いたいチームにも合います。
料金は「タスクか、active flowか」という数える単位の違いを、導入は「クラウドだけか、セルフホストも選べるか」の違いを軸に見ると、自分の使い方でどちらが素直かが見えてきます。どちらも無料の入口があるので、想定する自動化を実際に1つ作って動かし、消費のされ方と操作感を確かめてから決めるのが確実です。
Q.料金はどう比べればいい?
A.月額だけでは比べきれません。Zapierは実行のたびに増えるタスクの枠で、Activepiecesのクラウドはオンにしている自動化の本数で数えます。自分が「実行の回数が多いのか」「自動化の本数が多いのか」で、どちらの数え方が見積もりやすいかが変わります。
Q.無料のままどこまで使える?
A.Zapierは無料プランで月100タスクまで使えます。Activepiecesはクラウドで10本まで無料の自動化と無制限の実行が使えるほか、自分で運用するCommunity Editionが無料で公開されています。ただしCommunity Editionはサーバーを自分で用意する前提です。
Q.自分のサーバーで動かせる?
A.Activepiecesはセルフホストに対応しており、自社のインフラで動かせます。ただし構築や運用は自分で担うため、技術的な知識が必要です。Zapierはクラウドで使うサービスとして提供されます。
Q.双方向の同期はできる?
A.Zapierの自動化は一方向で動くもので、アプリ間の双方向同期には対応していません。片方を変えたらもう片方もそろえる、という使い方をしたい場合は、この前提を踏まえて設計する必要があります。
確認日: 2026-06-06(記載の各公式ページで確認。価格などは変わることがあります)
Zapier
Activepieces