ZapierとMakeは、どちらもコードを書かずにアプリやサービスをつなぎ、日々の作業を自動化するためのツールです。できることは重なる部分も多いのですが、自動化を組み立てる単位、利用量の数え方、そして向いている業務の規模が異なります。ここでは、立ち位置・作り方・料金・AIやチーム運用の違いを順に見ていきます。
どちらも幅広い自動化に対応しますが、向いている場面には傾向があります。一本道の自動化にAIやMCP連携、開発者向けの拡張、チーム共有までまとめたいならZapier、複数ステップの業務プロセスを画面上で組み立て、使った分をクレジットで見積もりたいならMakeが候補になります。
Zapier
こんな人に
きっかけから処理へ一直線に流す自動化を中心に、AIエージェントやMCP連携、開発者向け拡張、チーム共有まで同じ場所でまとめたい
Make
こんな人に
フォーム通知のような単発の自動化から、複数ステップの業務プロセスまで画面上に図として組み立てたい
Zapierは、Zapと呼ばれる自動化を中心にしながら、データを保存するTables、入力を受け取るForms、図で組み立てるCanvas、AIエージェントを作るAgents、AIチャットを作るChatbots、コードを実行するFunctions、AIとつなぐMCPまでを含む一つのプラットフォームです。アプリ連携だけの道具というより、AIを含む業務の流れをまとめて組み立てる場所として広がっています。
Makeは、コーディング経験がなくてもアプリケーションやサービスを接続し、ワークフローやタスクを自動化するためのプラットフォームです。フォーム送信後の営業通知や新入社員への歓迎メールのような単純な自動化から、従業員のオンボーディングや注文処理後の請求書処理のような複数ステップの業務プロセスまで、画面上で視覚的に組み立てられる点が特徴です。
同じ「自動化ツール」でも、Zapierは機能を横に広げた基盤、Makeは業務プロセスを一つの流れとして描く基盤、という違いがあると考えると、この後の話が理解しやすくなります。
Zapierの基本単位はZapです。Zapは、ある出来事をきっかけにする「トリガー」と、それに続く1つ以上の「アクション」の組み合わせでできています。たとえば「フォームが送信されたら(トリガー)、その内容を表に書き込む(アクション)」のような一本道の流れです。Zap workflowsは一方向の自動化として説明されており、2つのアプリを常にそろえておく双方向の同期のような使い方は想定されていません。逆方向のZapを組んで同期を再現しようとすると、Zap同士が互いを呼び合ってタスクを急速に消費してしまうことがあるため、流れは一方向で設計するのが基本です。
Makeでは、シナリオという入れ物の中にモジュールを並べて自動化を作ります。モジュールは処理を担う部品で、これを線でつないで流れを描きます。分岐させたり繰り返したりしながら、複数のアプリをまたぐ長めのプロセスも、画面上で図を描くように組み立てられます。単純な通知だけでなく、いくつもの段階がある業務そのものを1つのシナリオにまとめたいときに向いた作り方です。
ZapierとMakeでは、月額の数字そのものより「何を使うと利用量が増えるのか」の考え方が大きく違います。ここを取り違えると、プラン選びも比較もずれてしまいます。
Zapierは「タスク」で数えます。タスクとは、Zapが実行して成功したアクション1つのことです。きっかけであるトリガー自体はタスクを消費しません。また、FilterやPathsで振り分けた部分、エラーで止まった処理、条件に合わず実行されなかった処理もタスクには数えられません。Zapier MCP経由の呼び出しは少し特殊で、AIクライアントからの呼び出しが成功すると1回で2タスクを消費します。使えるタスクの上限は選んだプランで決まり、使わなかった分は次の請求サイクルへ繰り越されません。
Makeは「クレジット」で数えます。クレジットは、Makeを利用するために購入・消費する通貨のようなもので、以前は「オペレーション」と呼ばれていた考え方に代わって使われている単位です。オペレーションという概念自体は残っていて、モジュールが1回動いてデータを処理したり新しいデータを確認したりすることを指します。AI以外のアプリでは、初期設定で1オペレーションが1クレジットに相当します。ただし消費の仕方はモジュールの種類で変わり、トリガーモジュールはデータを返さなくても実行のたびに1クレジット、検索モジュールも複数件を返すかどうかにかかわらず実行のたびに1クレジットを使います。アクションモジュールは処理したデータのまとまり(バンドル)ごとに1クレジット、集約モジュールは集約1回ごとに1クレジット、繰り返し処理を行う反復モジュールは配列を分割する時点で1クレジット、その後に続くモジュールは分割された件数ごとに1クレジットを使います。一方で、一部のエラー処理用モジュールや振り分け・絞り込みに使うモジュールなどはクレジットを消費しません。AIを使う処理ではトークンの消費量がクレジット消費を左右する要因になり、独自のAIプロバイダーと接続する場合は、Make側にはオペレーション分のクレジットを、AIプロバイダー側にはトークン利用分を別々に支払う形になります。
料金プランの表示は、確認した時点では次のようになっていました。
| 項目 | Zapier | Make |
|---|---|---|
| 無料プラン | 月額0ドル(月間100タスク) | 月額0ドル(最大1,000クレジット/月、時間制限なし) |
| 個人向け有料の入口 | Professional 月額19.99ドルから(年払い) | Core 月額9ドル(10,000クレジット/月の表示) |
| 中位プラン | Team 月額69ドルから(年払い) | Pro 月額16ドル、Teams 月額29ドル(同じ表示) |
| 最上位 | Enterprise 問い合わせ | Enterprise カスタム料金 |
| 利用量の単位 | タスク(成功したアクション) | クレジット(モジュールの動き) |
注意
ここで挙げた料金や無料枠は、確認時点で公式ページに表示されていた内容です。金額やクレジット数、プラン別の条件は変わりやすいので、申し込み前に公式の最新料金を確認してください。
無料でどこまで試せるかも見ておきたい点です。Zapierの無料プランはトリガーとアクションが1つずつで完結するTwo-step Zapsが中心で、複数の処理をつなぐMulti-step ZapsやPremium appsを本格的に使うなら有料プランの条件を確認する必要があります。Makeの無料プランは時間制限なしと案内されており、最大1,000クレジット/月まで試せます。
どちらもAIとつなぐMCP(Model Context Protocol)を持っています。Zapier MCPは、ZapierアカウントをAIクライアントへつなぐサーバーの入り口で、MCPのツール1つが接続先アプリの特定の操作1つに対応します。各ツールの入力項目は、固定値・AIが選ぶ値・リストから選ぶ値のいずれかとして設定できます。Zapierはこれに加えて、複数のアプリを使ってタスクをこなすAgentsや、独自ブランドのAIチャットを作れるChatbotsも用意しています。
Makeも、AIからMakeのシナリオを実行できるMake MCP Serverを用意しています。AIシステムはシナリオを実行したり、許可された範囲でMakeアカウントの中身を操作したりでき、どのツールを呼べるかはあらかじめ許可した範囲によって決まります。シナリオを実行するツールは全プランで使え、アカウントを管理するツールは有料プランで使えると案内されています。シナリオをAIから使えるツールにするには、入力と出力をきちんと定義し、シナリオの説明を詳しく書いておくことが推奨されています。
さらにMakeには、判断が必要な処理向けのMake AI Agents(New)があります。2026年2月に公開された現行版で、現在はオープンベータの位置づけのため、機能や料金は変わる可能性があります。Make独自のAIプロバイダーを使う分には全プランで利用でき、他社のAIプロバイダーと接続する場合は有料プラン向けです。エージェントには、モジュールやMCPサーバーのツール、他のエージェントを道具として組み込め、チャット画面で動作を試しながら作れます。実行結果には応答本文と、処理のステップやトークン使用量を含む付随情報が付き、詳しい処理の流れを段階ごとに確認できるreasoningタブも用意されています。Make公式は、柔軟な判断や状況に応じた入出力が必要な処理にはエージェント、決まった手順に沿って同じ結果を返す処理には通常のシナリオを使う、という使い分けを示しています。AIの動きは予測しきれない面があるため、機密性の高いデータや、金額の大きい経営判断、厳密な法令順守が求められる処理にはエージェントを使わないよう案内されている点も押さえておきたいところです。
用意されたアプリだけで足りないときの広げ方も、それぞれ経路があります。Zapierには、公開されたAPIを持つアプリについて、認証・トリガー・アクションという3つの考え方で連携を作れるDeveloper Platformがあります。トリガーはウェブフックの通知を受け取る方式かAPIへの定期確認のどちらかで作れ、アクションはAPI経由でレコードの作成・検索・更新を行えます。Makeは、APIを持つ任意のサービスへHTTP appでつなげるほか、REST形式のMake API、独自アプリを作るCustom Apps、開発者向けのMCP Serverといった拡張経路も用意しています。API自体は、サービス同士がデータをやり取りするための窓口のようなもので、標準の連携が用意されていないサービスでも、APIさえ公開されていれば自分でつなぎ込める余地が残ります。
個人の自動化だけでなく、チームで共有しながら使う機能も両方に用意されています。Zapierでは、Team以上のプランでZapやフォルダの共有、アプリ接続の共有、SAML SSO、専任サポートが機能として案内されています。
Makeは段階的に機能が増える構成です。Coreでは、アクティブなシナリオ数の上限がなくなり、実行間隔を1分単位まで細かくでき、データ転送量の上限も上がり、Make APIへのアクセスが加わります。Teamsでは、チーム内の役割分担と、シナリオのテンプレートを作って共有する機能が加わります。Enterpriseでは、独自の関数を使う機能、企業向けアプリ連携、24時間365日のサポート、専任チームによる支援、超過分の保護、より高度なセキュリティ機能が加わります。料金ページには、社内ネットワークやSAPのような基幹アプリへ自動化の中から安全にアクセスするon-prem agentや、OAuth2またはSAML2に対応した認証基盤とつなぐCompany SSOも機能として表示されています。企業として使うときは、こうした共有・接続・認証まわりの機能がどのプランに含まれるかを見ておくと安心です。
作りたい自動化が「きっかけから処理へ流す一本道」で、AIエージェントやMCP連携、開発者向けの拡張、チーム共有までを一つの場所でまとめて検討したいなら、Zapierが候補になります。タスクという成功アクション単位で利用量を見る考え方も、こうしたシンプルな自動化とは相性がよい数え方です。
一方、複数ステップの業務プロセスを画面上で図のように組み立てたい、そして使った分をクレジットで細かく見積もりながら設計したいなら、Makeが向いています。モジュールの種類ごとに消費が変わる仕組みは、慣れると無駄を抑えた設計がしやすくなります。エージェントやMCPを既存のシナリオと組み合わせたい場合にも比較しやすいツールです。
どちらを選ぶ場合も、月額の数字だけで判断せず、自分がよく使う処理がタスクとクレジットのどちらの数え方で増えるのかを一度見積もってみることをおすすめします。ここがはっきりすると、実際の費用感が見えてきます。
Q.無料のままずっと使える?
A.どちらも無料プランがあります。Zapierは月間100タスク、Makeは最大1,000クレジット/月(時間制限なし)が無料枠として案内されています。ただしZapierの無料プランはトリガーとアクションが1つずつのTwo-step Zapsが中心なので、複数ステップの自動化やPremium appsを本格的に使うなら有料プランの条件を確認する必要があります。
Q.料金はどう比べればいい?
A.月額だけでなく、利用量の数え方で比べるのがポイントです。Zapierは成功したアクションを「タスク」で数え、Makeはモジュールの動きを「クレジット」で数えます。単位が違うので、自分がよく動かす処理がそれぞれどのくらい消費するかを見積もると比べやすくなります。
Q.どちらが複雑な業務プロセス向き?
A.複数ステップの業務プロセスを視覚的に組み立てたいなら、シナリオの中にモジュールを並べていくMakeが向いています。Zapierはトリガーとアクションをつなぐ一本道の自動化を基本としつつ、AIやMCP、開発者向け連携まで同じ基盤でまとめたい場合に選びやすいです。
Q.AIエージェントには使える?
A.どちらもAIとつなぐMCPを持ち、Zapierはエージェントやチャットボット、MakeはMake AI Agents(New)を用意しています。ただしMakeのAI Agents(New)はオープンベータの位置づけで、機能や料金が変わる可能性があります。また、機密性の高いデータや重要な意思決定を伴う処理にエージェントを使う際は、Make公式も慎重な利用を呼びかけています。
確認日: 2026-06-06 以降(記載の各公式ページで確認。価格などは変わることがあります)
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