Zapierとn8nは、どちらもアプリ同士をつないで作業を自動化するツールです。「メールが届いたら表に記録する」「フォームの回答をチャットに流す」といった手作業を、条件を決めておけば自動でこなしてくれます。似た役割ですが、自動化の作り方、料金の数え方、そして自分のサーバーで動かせるかどうかが違います。ここでは、その違いを用途・作り方・料金・運用の順に整理して、どちらが自分に合うかを判断できるようにします。
まず結論から言うと、手軽さを重視するか、自由度と運用の主導権を重視するかで分かれます。多くのアプリをつなぐ自動化を、管理の手間なくすぐ始めたいならZapier。ノードを組み合わせて自分でワークフローを設計したい、あるいは自分のサーバーで動かしたいならn8nが候補になります。
Zapier
こんな人に
管理不要のクラウドで、アプリ間の自動化やAI連携をまとめて手早く始めたい
n8n
こんな人に
ノードを自由に組み立てたい、または自分の環境で動かして運用まで握りたい
Zapierは、アプリ連携を中心に、データを貯めるTables、入力を受けるForms、AIエージェントやチャットボット、AIクライアント向けのMCPなどを組み合わせて自動化を作るプラットフォームです。基本の自動化は「Zap」と呼ばれ、きっかけ(トリガー)から別アプリの処理(アクション)へつなぐ一方向の流れとして動きます。
n8nは、クラウド版と、自分で環境を管理するself-host版の両方を持つ自動化ツールです。自動化は「ノード」をつないで作ります。ノードは処理のひとつひとつを表す部品のようなもので、これを線でつないでワークフローにします。クラウドですぐ使うことも、自分のサーバーに入れて動かすこともできる点が、Zapierとの大きな違いです。
Zapierでは、Zapという単位で自動化を組みます。1つのトリガーと、1つ以上のアクションを並べる形です。たとえば「フォームに回答があったら(トリガー)、その内容を表に追記する(アクション)」のように、きっかけから処理へ一方向に流れます。無料プランでは2ステップ(トリガー1つ+アクション1つ)のZap、有料プランでは1つのトリガーから複数のアクションを実行するMulti-step Zapsが使えます。
n8nでは、trigger nodeを起点に、action nodeをつないでワークフローを作ります。trigger nodeがワークフローの開始を担い、action nodeが処理や外部サービスへの操作を担当します。ノードを分岐させたり並べたりして、処理の流れを図として組み立てられます。作りたい処理をノードの組み合わせで設計していく感覚に近いです。
料金を比べるときは、月額だけでなく「何を使うと利用量が増えるか」を見る必要があります。ここがZapierとn8nで根本的に違います。
Zapierはタスク(task)で数えます。タスクとは、Zapが成功させたアクションのことです。トリガーはタスクを消費しません。そのため、1回の自動化でも途中のアクションが多いほど消費するタスクは増えます。プランごとに月間のタスク枠が決まっていて、枠は請求サイクル単位で見られ、翌月へは繰り越されません。なお、MCP経由の成功したツール呼び出しは、1回で2タスクを消費します。
n8nはexecution(実行)で数えます。executionは、ワークフローが最初から最後まで1回走ることです。ここが重要で、途中のステップ数がいくつあっても、1回の実行は1executionと数えます。しかも、上限に数えられるのはトリガーやスケジュールで自動的に始まる本番実行だけで、手動でのテスト実行は数えられません。つまり、ステップの多い複雑なワークフローを何度も回す使い方では、アクション単位で増えるZapierと、実行回数で増えるn8nとで、費用の膨らみ方が変わってきます。
料金の目安は次の通りです。Zapierは無料プラン(月額0ドル、月間100タスク)から始められ、Professionalは年払いで月額19.99ドルから、Teamは年払いで月額69ドルから、Enterpriseは問い合わせです。n8nはStarterが年払いで月20ユーロ(2,500 executions)、Proが月50ユーロ(10,000 executions)、Businessが月667ユーロ(40,000 executions)、Enterpriseは問い合わせです。n8nはどのプランもユーザー数・ワークフロー数・連携は無制限で、実行回数で段階が分かれます。
注意
記載の価格・タスク枠・実行数は変わりやすい項目です。契約前に各公式の料金ページで最新の内容を確認してください。
Zapierには無料プランがあり、月額0ドルで2ステップのZapを使えます。ただし月間100タスクという枠があり、Multi-step ZapsやPremium appsは有料プラン(またはトライアル中)が前提です。
n8nの無料入口は2種類あり、性格が異なります。1つはクラウドの無料トライアル、もう1つはself-hostユーザー向けの無料Community editionです。前者は期間限定でクラウドを試すもの、後者は自分のサーバーに入れて使い続けられるものなので、同じ無料でも位置づけが違います。
運用面の最大の違いは、self-host(自分で用意したサーバーにアプリを入れて動かすこと)ができるかどうかです。
Zapierはクラウドで使うサービスで、サーバーの管理は不要です。アカウントを作ればすぐに使い始められます。
n8nはクラウドとself-hostを選べます。self-hostを選ぶと、動かす環境を自分で管理することになります。多くの用途ではDockerでの導入が推奨され、設定は環境変数で行い、データはSQLiteまたはPostgreSQLに保存します。規模が大きくなると、処理を安定させるためのqueue modeや、データを整理するpruningといった設定も自分で扱います。自由度が高い一方で、サーバーやコンテナ、セキュリティ、スケールについての技術知識が前提になります。サーバー管理に慣れていない場合は、n8n側もクラウド版を選択肢として挙げています。self-hostできること自体は魅力ですが、そのまま「誰でも簡単」「必ずself-hostすべき」とはならない点に注意してください。
自分が使うアプリとつながるか、足りないときにどう補えるかも判断材料になります。
Zapierは多数のアプリ連携を前提に使えます。標準の連携に加えて、公開APIを持つアプリ向けにZapier連携を構築できるDeveloper Platformや、AIクライアントからアプリ操作を呼び出せるMCPもあります。
n8nは、あらかじめ用意されたbuilt-in nodesに加えて、コミュニティが作ったcommunity-built nodesをインストールできます。専用ノードがない相手でも、汎用のHTTP Requestノードを使えばAPI経由でつなげます。さらに、自分でcustom nodeを作って拡張したり、public APIやCLIからn8n自体を操作したりする、開発者向けの道も用意されています。標準連携で足りない部分をコードやAPIで補いたい場合に向いています。
なお、両者とも公式ページ上の連携数の表示は揺れやすいため、件数の多さで優劣を決めるより、自分が使うアプリが対象か、足りなければHTTPやAPIで補えるかで見るのが確実です。
どちらもAIを組み込んだ自動化の材料を持っています。
Zapierは、AIクライアントを接続するMCPのエンドポイントに加え、AIエージェントやチャットボットといった機能を備えています。AIからアプリ操作を呼び出す使い方ができます。
n8nは、LangChainの機能を扱うノードを通常のノードと組み合わせられ、外部データやvector store、embeddingを使うRAG(検索して答えを組み立てる仕組み)のワークフローも構成できます。
| 観点 | Zapier | n8n |
|---|---|---|
| 提供形態 | クラウド | クラウド/self-host |
| 自動化の単位 | Zap(トリガー+アクション) | ノードをつないだワークフロー |
| 料金の数え方 | タスク(成功アクション数) | execution(ワークフロー実行回数) |
| 無料入口 | 無料プラン(月100タスク) | クラウド無料トライアル/self-host版Community edition |
| 有料の目安 | Professional 月19.99ドル〜、Team 月69ドル〜 | Starter 月20ユーロ〜、Pro 月50ユーロ〜 |
| 拡張 | Developer Platform、MCP | HTTP Request、custom node、public API/CLI |
Q.無料のままずっと使える?
A.Zapierは無料プランがあり、月100タスク・2ステップのZapの範囲なら続けて使えます。n8nはクラウドの無料トライアルのほか、self-hostユーザー向けのCommunity editionという無料の選択肢があります。ただしMulti-step ZapsやPremium apps(Zapier)などは有料条件になります。
Q.料金はどう比べる?
A.月額だけでなく数え方が違う点に注目します。Zapierは成功したアクションの数(タスク)、n8nはワークフローが1回走った回数(execution)で増えます。ステップの多い自動化を回すほど、この差が費用に効いてきます。
Q.n8nのself-hostは誰にでも向いている?
A.自由度は高いですが、サーバーやコンテナ、セキュリティ、スケールの管理を自分で担う必要があります。技術知識が前提になるため、慣れていない場合はクラウド版も選択肢になります。
Q.どちらがAIに使える?
A.どちらもAI関連の機能があります。ZapierはMCPやAIエージェント、チャットボットを、n8nはLangChainノードやRAGワークフローを備えています。使いたいAIの組み込み方に合わせて選ぶとよいです。
確認日: 2026-06-06 以降(記載の各公式ページで確認。価格などは変わることがあります)
Zapier
n8n