ZapierとPipedreamは、どちらもアプリやサービスをつないで作業を自動化するためのツールです。たとえば「フォームに回答が届いたら、その内容を表に書き込む」といった処理を、プログラムをいちから書かずに組み立てられます。似た役割に見えますが、想定している使い手や、自動化の作り方、料金の数え方はかなり違います。この記事では、その違いを整理して、自分にはどちらが合いそうかを判断できるようにします。
大まかには、コードを書かずに手早く自動化を組みたいならZapier、コードやAPIを自由に混ぜて作り込みたい開発者ならPipedream、という分かれ方になります。
Zapier
こんな人に
ノーコードでアプリ間の自動化をまず作りたい、AI連携やチームでの共有もまとめて扱いたい
Pipedream
こんな人に
既成の部品にコードやAPIを混ぜて組みたい、自社アプリやAIエージェントに連携機能を組み込みたい
Zapierは、アプリ同士をつなぐ自動化を中心にした幅広いプラットフォームです。中核は「Zap」と呼ばれる自動化ですが、それ以外にもデータをためる表(Tables)、入力フォーム(Forms)、図で流れを描くCanvas、AIエージェント(Agents)、チャットボット(Chatbots)、コードを動かすFunctions、AIから呼び出すための窓口(MCP)など、自動化に関わる複数の機能を持っています。プログラミングの知識がなくても、画面の操作で自動化を組み立てられるのが基本の使い方です。
Pipedreamは、サーバーやインフラを自分で用意・管理しなくても、アプリやデータ、APIをつなぐワークフローを作れるプラットフォームです。ここでいうAPIとは、サービス同士がデータをやり取りするための窓口のようなものです。Pipedreamの特徴は、あらかじめ用意された部品(prebuilt actions)だけでなく、Node.js、Python、Golang、Bashといったプログラミング言語のコードを、ワークフローの途中のステップとして差し込める点にあります。この作りから分かるように、Pipedreamは開発者寄りのツールとして位置づけられます。
Zapierの自動化の基本単位はZapです。Zapは「トリガー」と「1つ以上のアクション」でできています。トリガーはきっかけになるイベント、アクションはそれを受けて実行する処理のことです。たとえば「メールが届いたら(トリガー)」「その内容を表に書き込む(アクション)」という組み合わせです。Zapは一方向の自動化として説明されていて、きっかけから処理へと一方向に流れます。2つのサービスの内容を常に同じ状態に保つ「双方向の同期」を前提にした使い方には向いていない点に注意してください。
Pipedreamも、イベントをきっかけにステップを順番に実行していく点は似ています。違いは、各ステップに既成の部品だけでなく自分で書いたコードを混ぜられることです。「用意された部品でできる範囲は部品で、細かい加工や独自の処理はコードで」といった組み方ができるため、既成の機能では届かない部分を自分で補いたい場合に柔軟に対応できます。
この2つは、料金の「数え方」の考え方がそもそも違います。ここを取り違えると費用感を見誤るので、先に単位の違いを押さえておくと分かりやすいです。
Zapierは「タスク(task)」という単位で使用量を数えます。タスクは、Zapが実行して成功したアクションのことです。きっかけを受け取るトリガーのステップはタスクを消費せず、成功したアクションのステップが消費する、という数え方です。たとえば1回のZapで表への書き込みと通知の送信という2つのアクションが動けば、その分がタスクとして数えられるイメージです。AIから呼び出すMCPの機能も同じタスク枠を使い、成功した呼び出し1回は2タスクとして数えられます。各プランには月あたりのタスク枠があり、使える数は選んだプランによって決まります。タスクは請求サイクル単位で見られ、余っても翌サイクルへは繰り越されません。
Pipedreamは「クレジット(credit)」を軸にした数え方です。ワークフローの部分では、ステップの数ではなく、ワークフローが動いている間の処理時間(compute time)に対してクレジットがかかります。目安として、256MBのメモリで30秒あたり1クレジットという数え方で、より多くのメモリを使うと消費も増えます。クレジットは「処理が動いた時間の分だけ消費する」イメージで、ステップをいくつ並べたかでは決まりません。開発中やテスト中のワークフローにはクレジットがかからない点も特徴です。
Pipedreamにはもう一つ、Connectという機能向けの数え方があります。こちらはAPIの利用量に応じたクレジットと、「エンドユーザー」の数をもとにします。エンドユーザーとは、Connectを通じて1つ以上のアカウントをつなぐ、あなたのアプリ内の利用者のことです。標準的なプランでは、つないだアカウントの数ではなく、重複しない利用者の数で数えます。ワークフローのクレジットとConnectのクレジットは同じ「クレジット」という言葉ですが、数える対象が別物なので、分けて考える必要があります。
注意
料金プランの金額や無料枠の内容は変わりやすいため、契約前に各社の公式料金ページで最新の内容を確認してください。
Zapierには無料で始められるFreeプランがあり、月額0ドル、月100タスクまでという枠で表示されていました。ただしFreeプランで作れるのは2ステップのZapまでで、3ステップ以上の複数ステップのZapや、Premium appsと呼ばれる一部の連携先を本格的に使うには有料プランが前提になります。有料プランは、年払いでProfessionalが月額19.99ドルから、Teamが月額69ドルからで表示され、Enterpriseは問い合わせ料金です。無料でどこまで試せるかと、実際の運用に必要な機能がどこから有料になるかは、分けて見ておくとよいです。
Pipedreamにも無料のプランがあり、開発中のConnectを無料で使えるなど、試したり作り込んだりする段階の負担を抑えられます。一方で、Connectを本番環境で使うには有料プランへの切り替えが必要です。前述のとおり、開発中やテスト中のワークフローにはクレジットがかからないため、まず作って動きを確かめてから本番に移す、という進め方と相性がよい料金設計になっています。
どちらもAIと組み合わせる文脈で語れるツールです。
Zapierは、AIクライアントからZapierのアカウントにつないでアプリの操作を呼び出せるMCPのendpointを持っています。加えて、AIエージェントを組み立てるAgentsや、対話用のChatbotsといった機能もあり、AIを使った自動化の材料が用意されています。
Pipedreamでは、Connectがアプリやアプリケーション、AIエージェントに連携を追加するための開発者向けツールキットとして説明されています。さらにPipedream MCPは、AIのアプリやエージェントに外部API由来のツールを追加し、認証情報の管理まで含めて呼び出しを行う機能として位置づけられています。AIエージェントに外部サービスの操作を持たせたい、という方向で使いやすいのがPipedream側の特徴です。
自社のアプリや独自の連携をどこまで作り込めるか、という点でも色が分かれます。
Zapierには、Developer Platformという仕組みがあります。公開されたAPIを持つアプリについて、認証(Authentication)、トリガー、アクションを中心に、そのアプリのZapier連携を自分で作れる仕組みです。利用者がZapを組むだけでなく、アプリを提供する側がZapier上の連携を用意する、という使い方ができます。
Pipedreamは、開発者向けの材料がさらに厚めです。ワークフロー内で使えるカスタムコードに加えて、自社アプリやAIエージェントに連携を組み込むためのConnect、利用者の認証情報を自分で保存せずに相手先のAPIへ認証済みのリクエストを送れるConnect API Proxy、各種SDK、REST API、Postman Collection、OpenAPI仕様など、コードやAPIを軸に広げていくための道具がそろっています。自社サービスに他サービスとの連携機能を組み込みたい開発者にとっては、ここが効いてきます。
Zapierは、チームで使うための機能も料金ページで示されています。Zapやフォルダ、アプリの接続情報をチームで共有したり、SAML SSOでログインを管理したりできます。個人で使うだけでなく、チームで自動化を共有して運用したい場合の材料がある、という見方ができます。
| 観点 | Zapier | Pipedream |
|---|---|---|
| 位置づけ | ノーコード中心の幅広い自動化プラットフォーム | サーバー管理不要で、コードも混ぜられる開発者寄りのプラットフォーム |
| 作り方 | Zap(トリガー+アクション)で画面操作中心。一方向の自動化 | 既成の部品にNode.js/Python/Go/Bashのコードを混ぜて組める |
| 料金の単位 | タスク(成功したアクションの数) | クレジット(処理時間ベース)。Connectはさらに別軸 |
| 無料の入口 | Freeプランあり。複数ステップやPremium appsは有料 | 無料プランあり。開発中は無料、本番のConnectは有料 |
| AI・MCP | MCP endpoint、Agents、Chatbots | Connect、MCPで外部APIツールをAIに追加 |
| 開発者向け | Developer Platformで連携を構築 | カスタムコード、API Proxy、SDK、REST API、OpenAPIなど |
Q.プログラミングができなくても使える?
A.Zapierは画面の操作を中心に組み立てられるので、コードを書かなくても自動化を作れます。Pipedreamも既成の部品だけで組むことはできますが、コードを混ぜられる点が持ち味なので、開発の知識があるほど活かしやすいツールです。
Q.料金はどうやって比べればいい?
A.月額だけでなく「何を使うと消費が増えるか」を見るのが大事です。Zapierは成功したアクションを数える「タスク」、Pipedreamは処理時間をもとにした「クレジット」で数えます。単位が違うので、自分の使い方に当てはめて考えると比べやすくなります。
Q.両方ともAIと連携できる?
A.どちらもMCPという仕組みを持ち、AIからアプリの操作を呼び出す文脈で使えます。Zapierはそれに加えてAgentsやChatbots、PipedreamはConnectを通じてAIエージェントに外部ツールを持たせる方向が説明されています。
確認日: 2026-06-06 以降(記載の各公式ページで確認。価格などは変わることがあります)
Zapier
Pipedream